『子どもにしがみつく心理』加藤諦三 読了

『子どもにしがみつく心理』加藤諦三

読了。

 

親子役割逆転について、親は夫婦間の問題や、社会的な問題、小さい時からの心理的問題などがあり、
それを子ども(子どもが幼稚園生くらいでもある)」に吐き出し、甘えることによって起こる。

その結果、『相互依存関係=共依存』に落ちる。
しかし本当は親子の関係かつ希望が非現実的なので、相手に、依存は受け入れない。そうなると相手に敵意をもつ。
相手が嫌いなのに離れられないとなる。

子どもとしても、非現実的で高すぎる要求なので、失敗する。そして親の要求ができない自分を、
自己蔑視する。自信を失う。

親は自分の心の葛藤から、子どもをコントロールし支配しようとする。過保護過干渉。
自分の葛藤から逃避した結果、
社会的に成功しようとするが、失敗し、それを子どもを使って成功しようとする。
葛藤が大きければ大きいほど、子どもへの要求は非現実的、実現不可能に大きくなる。
この親の行為は無意識上で行われ、意識的には子どもの為にやっているとなど。
実演不可能なので、子どもは自信を失う。
その負のスパイラルの結果、子どもはコミュニケーション能力を失う。神経症になる。
また、親は、依存対象を失うと心の葛藤と直面するので、子どもの独り立ちを許さない。
親子役割逆転の中で育った子供は、様々な負の葛藤を押し付けられて生きてきていて、
それはすごいことだ。

親子役割逆転の改善は、ただ一つ、離れることしかない。

 

感想
加藤諦三さんの本は何十年ぶり、久しぶりに読んだが、さすがに良かった。
まさにダブルバインドで、お互いに身動きが出来なくなっており、どんどん悪くなっている。
その負のスパイラルから抜け出せない状態になっていること。
更に、親の自我が未成熟の結果でもあり、そのことに意識していないこと。
など、様々な依存(アルコール、ネット依存)などあるが、家族の共依存は高いレベルにあるんじゃないか、
とも思った。また、共依存について、ここまでダブルバインド的なものが多くあるとも思わなかった。


文章の全体的に、一般向けに書かれていて、専門的な話はあまりなかったが、
ただ、精神分析を背景に書かれていて、抑圧、反動形成など精神分析の用も少しあり、
知らないと意味を理解するのは、少し困難ではと思った。
また、改善方法があまり書かれていないので、その方法もあってよいと思った。
 (その辺は理解には役立つが、治療技法が弱い精神分析がでたような・・・)


あと、神経症とい用語について、現在の臨床心理、精神医学ではあまり使っていないが、
ものすごく大雑把に言ってパーソナリティ障害に当てはまるか。厳密には違うが。